変異株が広がりつつあるコロナ禍。
ワクチン接種が始まっていますが、一般的に普及するまで、日本はまだまだ時間がかかりそうです。
そんな中、今後の航空業界を”4つのキーワード”にて考察してみます。
「いつ気軽に旅行にいけるに旅行にいけるようになるのか?」
「LCCの在り方」
「上級クラスの多様化」
「マイル使用の多様化」
航空業界の”需要回復”まで早くても2~3年後⁈
世間一般に言われているのが「国内線」「国際線」市場を含め、全面的に回復するのは2~3年かかると言われています。
各社エアラインは国内線の運航と貨物需要の取りこみによって、事業の継続をしていく形になります。
「グリーンゾーン」と「レッドゾーン」
当面の間は、ワクチン接種を含め、ウイルス感染検査での「陰性証明」などの書類を標準化。
「パスポート」や「パス」などとして個人が取得・携帯することで、対象地域間の旅行を可能にする動きが進むと予想されます。
また世界の感染率が低い地域と高い地域があり、「グリーンゾーン」と「レッドゾーン」などで塗分けた上での運用することが考えられます。
大型機は引退へ
コロナ前は各航空会社は拡大戦略を取っていました。
中でも、”エミレーツ航空”は保有機すべてを大型機の「ボーイング777」と「エアバスA380」で構成するという戦略で大量輸送を実施。
「エアバスA380」の魅力はこちらの記事で紹介
他方、多くのフルサービスキャリアでは大型機より一回り小さいものの航続性能に優れる「ボーイング787」や「エアバスA350」などを長距離国際線に投入し、1便大量輸送より
”便数の増加”や”直行路線を新規開拓”する戦略
に転換しつつありました。
今後は、後者の戦略にシフトし、大型機は退役する流れがより加速すると思われます。
ビジネスモデルの変更
近年の航空業界で顕著になったトレンドに、「LCC」の躍進と「ビジネスクラス」の充実があります。
- LCC→”客席の密度を高めることで、コストを下げて観光需要の取り込む”
- フルサービスキャリア(FSC)→”乗客との多頻度接触による手厚いサービス”でビジネスクラスに傾注。
これらが逆にLCCは座席の「高密度」が、FSCは「接触度の濃さ」が問題視され、ビジネスモデルの根幹を揺るがしています。
乗客に安心感を与えるにはビジネスモデルの修正が必要になっています。
「ビジネスクラス」の魅力についてはこちらの記事
また、まだまだ航空需要が回復しない以上、他の収益が必要で、最近では「金融」や「EC」などに注力しているようです。
LCCの在り方-ビジネスモデルの変化ー「客単価アップ」
LCCは従来のビジネスモデルから大きな転換が必要になってくるかもしれません
- ソーシャルディスタンスを取るために座席間隔を見直さなければならない。
- 貨物を取り扱うことで経営の安定化を図ろうとするならばある程度のターンアラウンドの時間を取らなければならなくなる
この点は利用者にとっては朗報で、
- 機内では以前よりくつろげるようになる
- 中央の座席を反対向けにするアイデアが出ており、隣の座席を気にする度合いが軽減
このような可能性があります。
LCCの”ビジネスクラス”
隣席の乗客との接触を避けたいという意味で、個室型シートが主流になっているビジネスクラスの需要が増加する可能性があります。
最近では”JALグループ”が設立した中・長距離国際線LCC「ZIP AIR」の「ZIR Full-Flat」。
これはあくまで「シートのみ」上級で、あとのサービスはすべてエコノミークラスと同様に有料となっています。”快適に移動したい”というニーズを取り込むのが狙い。
LCCの”客単価アップ”
感染対策として搭乗時のソーシャルディスタンス確保など時間とコストがかかるので、以前のような価格水準を維持するのは難しい。
低価格でないLCCはインパクトにかけるので、呼び水となる格安運賃は必要ですが、最低価格での提供座席数を現行の5%~10%程度絞ることになりそうです。
そのため
「2割程度の価格引き上げ」はやむ得ない
と考えます。
燃費効率の悪さから退役した”ボーイング747”など超大型機を活用した「低密度」のLCCが運営可能になるかもしれないです。(※あくまで予想)
また、満席は見込めない間は短距離路線であっても、販売単価を高めるために、「上級クラス」を設置し、ビジネス需要や予算に余裕のある観光需要を取り込む努力が必要。
ANA最上級クラス「ダイヤモンドステータス」の魅力について記事で取り上げています。
上級クラスの多様化ービジネス需要から「観光需要」にシフトー
コロナ禍を機会にリモート会議など、移動をしなくても、仕事が進められるような状況が大幅に普及しているのは間違いありません。
航空業界では「ビジネス需要はコロナ後にも完全に戻らない」
というのが共通の認識になりつつあります。
ビジネス需要から→「観光需要」へ
企業の業務出張におけるビジネスクラスの利用が減少すると予想される一方、ソーシャルディスタンスなどの理由により、レジャー(観光)需要でのビジネスクラス利用が増える可能性も考えられます。
ビジネスクラスの区画を分け、
- 機内食やアルコールを含むドリンクの提供を行う従来スタイル
- シートだけがビジネスクラスで他は”エコノミークラスと同じサービス”
2極化する航空会社が出てきてもおかしくないと思われます。
プレミアムエコノミーの需要増
隣席との距離を少しでも広く確保すべく、”プレミアムエコノミー”の需要が増える可能性。
「低接触」と「エコノミークラスの魅力度アップ」がキーワード。
エコノミークラスにが観光客をターゲットに割高運賃でも楽しいサービスを売りにするツーリストクラスが誕生することが予想されます。
また追加料金で、隣席をブロックできるサービス(Peachなどで実施している)が増えるかもしれません。
「カウチ席」や「スカイネスト」などエコノミークラスの多様化
「エコノミークラスで利益を上げる」戦略が増えてきている。
並びの3席(4席)を使って2人または子供を含む3人が横になって利用するエコノミークラスの「スカイカウチ」席を開発・設置したりしている。
近年では、FSCのほとんどの長距離線で「プレミアムエコノミー」が設置され、家族旅行の多いリゾート路線でカウチ席を導入するエアラインが増えてきています。
「スカイネスト」構想
エコノミークラスの一角にベッドスペースの「スリープ・ポッド」を上下3段で2組用意し、予約した乗客が離着陸を除く好きな時に利用できる(※別途利用料金が必要)
平面の3分の1に相当するので、追加になる利用料金は、1席分の正規運賃で採算が取れると予想できます。
マイルの使い方の多様化ー片道での発券が可能になる⁈ー
マイルの国際特典航空券は、柔軟な旅程を組みやすくするべく、片道航空券の販売が増える可能性があります。
JALは国際線でも片道での利用は可能ですが、ANAでは往復しか発券ができず、マイレージ会員からは
”片道でも利用できるようにしてほしい”
との声が大きいようです。
「マイルの貯め方」についての記事はこちら
また、ビジネスクラス利用の、企業におけるビジネス利用が減少することが予想されることから、レジャー(観光)需要でのビジネスクラス利用が増える可能性があります。
よって特典航空券も「座席枠」や「確保しやすさ」が改善されるかもしれません…。
観光需要を取り込むことを目的に、マイルを使用した旅行客に対しての柔軟な要望に対応する
「国際線特典航空券」の”ルール”や”お得な使用方法”について記事にしています。
まとめ
- コロナ禍で需要回復は早くても2~3年後⁈
- LCCの在り方は大きく変わり、「客単価」を上げて収益改善する
- 上級クラスはビジネス需要から→観光需要へ
- マイルは使いやすいようにより、柔軟に使用できるようになる⁈
コロナ禍は一気にではなく、段階的に回復していくと思われます。
航空業界もビジネスモデルを柔軟に変化させながら、需要回復に向けて試行錯誤しています。
そんな中で今後のエアラインを「未来予想」してみました。
今後のみなさんの旅行計画などの参考になれば嬉しいです。
【スターアライアンス】ANAマイルよりお得にANA便に乗れる「UAマイル」はご存知ですか⁈詳しくは以下をご覧ください
参考・引用文献:「航空旅行Vol.36」イカロス出版
以上、参考になれば嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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